旅好きのメモ

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極東ロシア、行く価値はある?

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ここまで極東ロシアについての記事を更新してきましたが、「ぶっちゃけ、行く価値はあるの?」という疑問は旅行先を選ぶうえで湧いてくるはずです。

 

日本からはモスクワまでも直行便はあるので、「黄金の環」と呼ばれるロシアの古都巡りなどをしたい方や、ロマノフ王朝の歴史に興味がある方、クレムリン赤の広場は絶対に見たい!といった方の場合、極東ロシアよりもヨーロッパ・ロシアの方が間違いなく合っています。

 

ここでは、どういった方が極東ロシアに向いていて、具体的にどこに行くべきなのか、そのあたりをご紹介します。

 

1. 日本人ゆかりの地を巡りたい

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極東ロシアで真っ先に思い浮かぶのは、間違いなくこのテーマです。日露戦争南樺太併合)、シベリア出兵と北樺太の保障占領、そして第二次世界大戦末期の日本人の抑留、といった近現代史の出来事と切っても切れないのがこのエリアになります。

 

【北緯50度線以南のサハリン】

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日露戦争で獲得してから第二次世界大戦末期に喪失するまでの間、製紙工場や炭鉱での労働者を中心に日本人の入植が進んだ北緯50度線以南のサハリンには、日本統治時代の痕跡が今も点在しています。樺太庁において唯一の市政が敷かれていた豊原(現在のユジノサハリンスク)はもちろんのこと、日本海側の泊居(トマリ)や恵須取(ウグレゴルスク)、オホーツク海側の敷香(ポロナイスク)や知取(マカロフ)、アニワ湾沿いの大泊(コルサコフ)や留多加(アニワ)などの町を鉄道やバスなどで巡る旅は、きっと思い出深いものになること間違いなしです。

 

ウラジオストク

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まだ旅客機が普及するより前の時代、ヨーロッパへ向かう日本人が必ずと言ってよいほど利用してきたのがシベリア鉄道です。その玄関口となったのがウラジオストクであり、多くの明治以降の偉人がこの地を訪れています。かつての日本人街には当時の建物も残っているので、時の流れを感じることができます。それ以外にも、日露戦争時の太平洋艦隊(序盤はウラジオストク巡洋艦隊)の軍港として、また、シベリア出兵の際の日本の干渉軍の拠点として、日本史においても重要な町であり、これらの歴史的な事件を記憶(あるいは追悼)するために建てられた記念碑や教会なども点在していますので、是非それらも合わせてゆっくり見学されることをオススメします!

 

【ナホトカ】

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大戦後、独裁者スターリンの命令でソ連に抑留され強制労働に従事していた日本人たちのうち、帰国まで無事に生き長らえた人たちが、ここナホトカの港から帰国船に乗って日本への帰途に着きました。そのときのご縁もあり、(日本海沿いの)日本の3つの都市との間で姉妹都市の関係にあり、今日まで友好が続いています。日本との関わりの深さを感じられるスポットが点在しているので、是非訪れておきたい町です。

 

【抑留日本人慰霊碑(各地)】

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※ナホトカから帰国した抑留者がいる一方、帰国できずに収容所で亡くなった方々も大勢いらっしゃいます。アルチョームやハバロフスクなど、極東ロシアの各地にこうした抑留日本人の死没者を追悼する慰霊碑が建てられていますので、行かれる際は足を運んで頂きたいと思います。(写真はハバロフスクの平和慰霊公苑)

 

2. 雄大な自然を満喫したい

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日本よりもはるかに広大な面積の極東ロシアには、手付かずの自然が点在しており、それらが自然保護区や国立公園に指定され、そのうちの一部は世界自然遺産にも登録されています。日本では見られない大陸の雄大な自然を肌で感じる体験は、きっとかけがえのない人生の思い出になることでしょう。

 

カムチャツカ半島

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極東ロシアの自然、と言った時に真っ先にオススメしたいのが、世界屈指の火山地帯として知られるカムチャツカ半島です。「火山の博物館」という異名からも、注目に値する場所だということがお分かりいただけるかと思います。標高2000m台から3000m台の雄峰が連なるカムチャツカ半島は、あちこちに絶景が広がっているのはもちろんのこと、トレッキングやフィッシングなども楽しめるので、アウトドア好きにはとにかく堪らない場所です。

 

【シホテアリニ山脈】

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大陸の手付かずの自然に触れたいという方にオススメしたいのが、沿海地方からハバロフスク地方にかけて連なるシホテアリニ山脈です。一見すると「ここは日本?」と思えるような雰囲気の山脈ですが、ここにあるのは手付かずの原生林。実際に中に入っていくと、日本では決して見ることのできない希少な動植物を見ることができます。シベリア鉄道のレソザヴォーツク駅からほど近いビキン川の上流から中流にかけてが国立公園に制定されていて、ここが世界遺産にも登録されています。他に、日本海側の町テルネイ近郊の2つの自然保護区も世界遺産に登録されています。

 

※カムチャツカ地方の火山地帯と沿海地方のシホテアリニ山脈のいずれも旅行会社でツアーを組むのがベストです。日本でもそうですが、その道のプロの方の案内で自然を体験するのが最も満足度が高くなります。

 

3. 今は亡きソ連の面影を訪ねたい

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1991年に姿を消した史上最大の社会主義国家、ソ連。米国を盟主とする自由主義陣営との冷戦が長らく続き、極東ロシアには、外国人の立ち入りが許可されなかった地域が多く存在していました。

 

サハリン州

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1989年まで外国人の立ち入りが原則認められていなかったサハリン州は、今もソ連時代の雰囲気を色濃く残している地域の一つです。州都のユジノサハリンスクソ連崩壊後に急速に変化してきているものの、ソ連時代に石油の生産拠点として発展した北サハリン最大の都市オハは、今もなおソ連時代の趣を色濃く残しているのでオススメです。

 

【コムソモリスク・ナ・アムーレ】

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独裁者のスターリンが、極東最大の工業都市をゼロから築くという壮大な計画のもと建設を指示した町、コムソモリスク・ナ・アムーレは、その全てがソ連らしい雰囲気の町です。スターリン建築の尖塔のある建物のほか、ソ連時代のモザイクや彫刻、記念碑などが点在しており、極東におけるソ連式の計画都市の雰囲気を今も伝えています。

 

【ボリショイ・カーメニ】

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1991年のソ連崩壊により、当時の閉鎖都市のほとんどが外国人に開放されるなか、その後も概ね外国人のアクセスを拒んできたのがここボリショイ・カーメニです。2014年に沿海地方の強い要望を受けて閉鎖都市の規制は大統領令によって廃止されましたが、それでも原子力関連施設のある海軍の町であることに変わりはなく、ソ連時代からほとんど変わらない町の雰囲気を感じることができます。

 

※南のフォキノは今も閉鎖都市なのでアクセスできません!

 

4. 外国の鉄道に乗ってみたい

 

これほど航空機が普及してどこまでもひとっ飛びで行けるようになった21世紀。そんな中で旅情をそそられる乗り物と言えば、なんといっても鉄道でしょう。世界最大の国ロシアは、その鉄道の規模も壮大なので、ぜひ鉄道の旅を満喫したい方は真っ先に極東ロシアを訪問することをオススメします。

 

シベリア鉄道

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世界最長の鉄道のシベリア鉄道は、モスクワから極東までを結んでいます。もちろん、せっかく乗るなら全区間を乗る旅をオススメしますが、時間のない方が多いと思うので、基本的には終着駅のウラジオストク駅から極東の最大都市ハバロフスクまでの区間を乗車するのがベストかとは思います。ウラジオストクからの場合、沿海地方第二の都市ウスリースクへ、ハバロフスクからの場合、ユダヤ自治州の州都ビロビジャンへの小旅行などもオススメです。

 

バム鉄道

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スターリン肝煎りの国家プロジェクトだったのが、シベリア鉄道の北を並走するバム鉄道(正式名称バイカル・アムール鉄道)の建設でした。第二のシベリア鉄道と呼ばれるこの鉄道は、シベリアからバイカル湖アムール川などを経由して、日本海側までを結んでいます。シベリア鉄道と同様、全区間を乗車するのは時間的に厳しいという方は、1945年にバム鉄道で初めて開通したコムソモリスク・ナ・アムーレ〜ワニノ間を乗車してみるのがベストでしょう。コムソモリスク・ナ・アムーレからはシベリア鉄道本線の通るハバロフスクまでの支線も通っているので、そちらも併せて乗ってみることをオススメします。

 

【サハリン鉄道】

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日本統治時代の東線と西線をベースに統廃合を経てできたのが今のサハリンの鉄道です。線路自体は広軌に変更されているものの、基本的には当時から変わらない区間を走っています。宮沢賢治が妹の魂を求めて乗車した、大泊(コルサコフ)から豊原(ユジノサハリンスク)を経由して栄浜(スタロドゥプスコエ)まで向かう鉄道は栄浜駅の廃止により現存しませんが、コルサコフユジノサハリンスクまでの鉄道や、ユジノサハリンスクからオホーツク海、東西連絡線を経て西海岸のイリンスコエ(あるいはその先のトマリ)方面に向かう鉄道、そしてユジノサハリンスクからかつての日本最北駅の古屯(ポベジノ)を経てノグリキまで向かう鉄道などがあり、宮沢賢治が通ったルートを含む形で鉄道の長旅を味わうことができます。

 

5. 本場のロシア料理を食べたい

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ロシア料理が大好きな美食家にとって、極東ロシアはまるで天国のような町ばかりです。豊かな自然の賜物である新鮮な海産物と野菜を使った本場のロシア料理を満喫できます。少数民族も多く暮らす極東ロシアでは地域ごとに特徴に違いもありますが、そこがまた魅力のひとつとも言えます。

 

ウラジオストク】海鮮料理etc.

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極東ロシアの玄関口となっているウラジオストクは、観光客やビジネス客なども多いことから、ハイレベルなロシア料理店が多い激戦区となっています。日本海に面し、海鮮料理が特に人気です。

 

ハバロフスク】各種料理

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極東ロシア最大の町ハバロフスクは、前述のウラジオストクと同様、本場のロシア料理を味わうのに最適な都市の一つです。とにかくハイレベルなロシア料理店が多いので、満足できること間違いなしです!

 

ユジノサハリンスク】海鮮料理etc.

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オホーツク海日本海に挟まれ、豊かな海産物に恵まれているサハリンは、ロシアの海鮮料理を食べるには最高のロケーション!採れたてのカニイクラを日本(北海道など)よりも安い値段で食べられるので、日本からの旅行者にとって非常に満足度が高いです。

 

【ビロビジャン】ユダヤ料理

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ロシア帝国の時代に発展したユダヤ料理を味わえるのがここビロビジャンです。イスラエルの食文化にも大きな影響を与えたロシアのユダヤ人の食文化をぜひ本場で味わってみてください!

 

ヤクーツク】ヤクート料理

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サハ人の国、サハ共和国の首都ヤクーツクでは、ヤクート料理と呼ばれるサハ人の料理を味わうことができます。魚料理(ストロガニナなど)が中心となるので、日本人の口に合うものが結構多いです!

 

【ウランウデ】ブリヤート料理

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モンゴル系のブリヤート人が大勢暮らすブリヤート共和国の首都ウランウデでは、ブリヤート料理を味わうことができます。さすが遊牧民を祖先に持つだけあって、料理は乳製品中心の味付けで、濃厚な味を楽しめます。